「春の気立つを以って也」
立春。旧暦ではこの日が一年の始めとされ、春の気が立つ、つまり冬と春の分かれ目の日です。目には見えなくても、雪解けのせせらぎや鳥のさえずりなど、産声を上げたばかりの新しい季節はゆっくりと確実に時を刻んでいます。

そこで、次の季節の気配を見つけるための一助に、季節の移ろいとともに姿を変える自然の風物を描いた高岡螺鈿細工の小物を携えてはいかがでしょうか。

螺鈿とは、貝の内側の真珠層を削り出し、器物の表面に貼って絵や文様を表す技法のこと。奈良時代に唐から伝わり、平安時代には漆器の装飾技法として蒔絵と共に用いられるようになったことから、その技術は急速に発展しました。中でも、「青貝塗」という技法で独自の発展を遂げてきたのが富山県高岡に伝わる螺鈿細工です。

通常の螺鈿が1mm以上の厚みのある貝を使うのに対し、高岡では0.1mm程の薄い貝を使用。それにより、漆の上に貼ると下の色が透けて見えるだけでなく、厚貝には難しい色付けが可能になります。薄く削られた貝の裏面に何色もの塗料を重ね、生まれた多彩な色と螺鈿本来の輝きを手にして、自然の美しさや四季の移ろいを表現するようになったのは、ある意味自然なことだったのかもしれません。

繊細で卓越した職人の手仕事により細部まで描きこまれた色鮮やかな野鳥や草花。それを愛でる風流が、日常の中にも新しい景色を見せてくれるはず。螺鈿の輝きを日々の輝きに。

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